お宝山

むきだしの自然を体感…。



第十一回お宝登山長瀞アルプストレイルレースに出場してきました。

ハーフマラソンまでは走りきった事があるので、今回の距離は16㎞。
内心、余裕だと思っていた僕は甘かった…。
平坦なロードを走るレースとは、全然違いますね…!

スタートし、少し走るとまず下り、そしていきなり険しい登り道。舗装も何もされてない、登山道…。
登りきったかと思ったら、スキーの直滑降並の急斜面を下ります。しかも地面が乾いた落葉の絨毯で、滑る滑る…!
で、なんとか下り切ったらまた登り…。

この心臓の揺さぶられ方は、さすがにこたえました…。
途中、完全に登山のペースになる箇所も幾つかありました。
周りの参加者も、みんなでヒイヒイ息を荒げながら登山…

で、ちょっと平坦になったら走る→下りはスピーディーになるけど足の負担は大きい→登山→※繰返し

登り走る。転がり走る。の繰返しな訳です。
怪我人が出ても不思議じゃないレベルです。
だからこそ、反って意識は集中します。
どこに足を着けば良いか、どの向きに体を傾けたら転びにくいか、この平坦な道ならば心配機能は回復できるだろう、…とか。

一瞬一瞬が道との戦いです。
なので、気が緩むという事がなかったです。

…トレイルランって、自然の中を気持ちよく走る、って言う、優雅なイメージがあったのですが、とんでもなかったです。
山との、自然との戦いですね…。
勿論、自然界に戦いを挑んでも勝てるわけがないのですが、
その、自然に挑む、ことで人間の内側から湧いてくるエネルギーがあるのだと思います。


舞台をやっていて良かったと思うことは、腹まで使って呼吸する習慣がついてる事ですね。
周りの参加者よりも、一度に多くの息を取ることが出来、さらにそれがお腹や背中まで到達するのを意識出来るので、有効だと思います。
また、身体の使い方も有効な点です。
途中、200段の登り階段が続くとんでもない箇所があったんです。しかも一段一段が大人の膝の高さ位まであるんです。
僕は腕の力を抜き、振り子の様にして、腕の反動で階段登りを補助していました。
こういう状況に応じた身体反応が出来ることは、舞台をやっていて良かった事だと思います。


山頂までたどり着き、スタート地点に戻って行くのですが、そこから延々と下り坂が続きます。
2㎞位かな…、ずーっと砂利道を下るのです。

膝が笑う…というのは体験した事あるけど、
肘も笑うのですね…、これには初体験。
急斜面を下るときは、膝のクッションだけでなく、肘のクッションも使っているものなのですね。
まさに転がるように道を下りました。

下りの最中、沢山の登山客の方とすれ違いました。
「頑張れー」
「ナイスラン!」
…声がけしてくれるんですよね。道を譲ってくれるんですよね。
本当にありがたい…。笑顔を返す余裕は僕にはなかった…


地獄の下りを何とか終えると、最後の登り…、そしてまた急斜面下り…。
ここら辺になると、もう身体は内も外もガタガタなのが分かります…。
まさに“さいごのちからをふりしぼる”


ゴール…。
完走。
1時間38分。

僕は男性の、45位でした。
今日は何人いたのか分かりませんが、300人くらいだ…、と周りから聞こえて来ました。
その中では、なかなかの順位じゃないかと思います。


むきだしの自然と、がっぷり四つで取り組みました。
久し振りに、大いなるものと戦いました。
戦う、という感覚は、今日得た感覚に近いのかもしれないと感じました。


ゴール後、豚汁が振る舞われました。
ゆっくりと頂きます。
山の空気で冷えていた僕の食道や気管や胃が、じんわりと温まってゆくのを感じました。

ありがとうお宝山。
ありがとう長瀞町
ヒトが本来持っているはずの感覚を呼び覚ましてくれる、素敵なところです。




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